みんなで味わうサガリバナ

島暮らし

サガリバナが開花する季節になりました。
サガリバナとは、南国のお花で、夜の間だけ花開き濃厚な香りを放ちます。
別名サワフジというだけあって、藤の花のように房状に花をつけ、湿地を好むようです。

写真集や歌詞の中でしか出会えない、遠い存在の南国の花だと思っていましたが
4年ほど前に、わたしの住む集落の休耕田のまわりにもサガリバナが存在するということを
集落の70代のお兄さまに教えてもらいました。

最初は、おにいさまがサガリバナまでの草を刈り枝を払い
わたしたちを案内してくれました。

初めてみるサガリバナは満開の時期をすぎ
ぽつりぽつりの開花でしたが、
風がふくと細かく震える繊細なうすピンクのふわふわや
うっとりする濃厚な香りがとても印象的でした。

次の年、さらに奥の田んぼ地でマコモを栽培するようになり、
そこにもサガリバナの群落があることがわかりました。
わたしたちの住む地域では、戦前の頃には、
田んぼの縁に多くのサガリバナを植えていたそうです。

その後、集落の方々で一緒に、
田んぼまでの道やサガリバナ周辺の草刈りもするようになり、
人が入らなかった山裾の森に、人が入るようになりました。

集落の70代のおねえさまが子どもの頃は、
集落の山裾に広がる広大な湿地はぜんぶ田んぼで、
その周りの水路にはきれいな水が流れていて、
そこでタンガ(タナガエビ)とりをしていたそうです。
とったタンガはおいしくたべたんですって。

きっとその頃からサガリバナの木はあったけど、
夜に行かないから、こんな花が咲くとは知らなかったといいます。

おねえさまの話をききながら、かつての集落の風景を想像すると
不思議となつかしく恋しい気持ちになります。

風に揺れるサガリバナ


さて、今年は例年になく、
集落のサガリバナにスポットライトがあたりました。
新聞の取材や、テレビの取材も入って、
集落内外のいろいろな方々と一緒にサガリバナを味わうことができました。
サガリバナの花の下ではみんな興奮気味に感嘆の声をもらします。
ひとりでうっとり味わうサガリバナも素敵でしたが、
こうやってみんなと一緒にあーだこーだいいながら味わうサガリバナも
とても素敵でしあわせでした。

わたしは奄美の豊かな自然が大好きですが、
それだけでは足りなくて。
そこに住んでいる人たちが自然とかかわって、
かかわりながら、その場所を大好きで楽しんでいるという
この感じに、とてつもなく満たされます。

わたしは自分の暮らす集落が大好きです。
連なる山々の裾の森とそこからつながる休耕田の湿地、
その広大な湿地と海の間に人の暮らしがあって、
住む人もみんなそれぞれが個性的でおもしろい。

移住11年目にしてやっと、
わたしはこの島に住んでなにを感じたかったのか
すこしずつわかってきたような気がします。

さあ、
きょうも脱皮探究はつづきます。
みなさまも良き脱皮を!

奄美の自然を考える会による「サガリバナ観察会 2025年7月13日(日)」資料4p.


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